敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
叶多くんを見送ってしまうと、なんだか気が抜けてリビングのソファにドサッと腰を沈めた。
すると、ここへ来た初日から置きっぱなしになっている着物用のバッグが目に入る。
「そうだ、スマホ……」
バッグからスマホを出し、結納の日以来初めてまともに確認すると、連絡を寄こしていたのは意外にも父だけだった。
【どこにいるんだ】
【連絡しなさい】
【皆心配している】
などの短いメッセージが続き、それ以降は電話もメッセージも届いていない。
この分なら少しの外出くらい問題なさそうな気はするが、叶多くんとのルールに背いてまで外に出たいわけじゃない。
「眠い……」
スマホの画面を見ていたら、唐突に瞼が重くなってくる。そういえば叶多くんと愛し合うことばかりにかまけて、まともに睡眠もとっていなかった。
倒れるようにソファに横になるとすぐに意識は薄れ、そのまま深い眠りに飲み込まれていった。