敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
「はしたなくてすみません。見たことのないお菓子がいっぱいだったので……」
「別にそんなことは思ってない。作った人はきっと喜んでるだろう。あと、俺も学生の身だし敬語はいらないよ。ただでさえ堅苦しいパーティーだから、楽に行こう」
「ふふっ、そうね。ありがとう叶多くん。私のことも、美来でいいわ」
おどけてネクタイを緩める仕草をすると、美来が初めて笑ってくれた。
大人っぽいドレス姿でも、笑顔は年相応に幼くて愛らしい。きっと、同年代の男たちは彼女に夢中だろう。
そのときふと、四つも下の彼女を女性として見ている自分に気づき、小さく頭を振る。
初対面の女子高生に変な感情を抱くなよ……。
ひとりで勝手に気まずくなった俺は咳払いをして、あえて色気のない話題を探す。
「こういうパーティーで食品ロスが出るのが国際的な問題なのは知ってる?」
「ええ。飢餓で苦しんでいる人がいる中、先進国では毎日大量の食品ロスが出ている。将来的な食糧難や環境破壊を防ぐためにも、自分にできることから始めていきましょうって、学校でも習ったし、時々自分でも考えるわ」