敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
「また海外に赴任するときは、私もこの子も連れて行ってね」
「ああ、もちろん」
「約束よ」
「わかってる。二度と離れるのはごめんだ」
叶多くんの瞳が切ない色を帯び、もう何度目かわからない口づけが触れる。
家に着いてから、そして家に着くまでの路地でも交わしたたくさんのキスのせいで、唇が少々火照ってひりひりする。
「今日の叶多くん、キスしてばっかり」
「仕方ないだろ。本当は美来の奥の奥まで貪り尽くしたいのに、我慢してるんだ」
息のかかる距離で吐息を含んだ会話を交わしていると、体が疼く。
だけど、彼との赤ちゃんお腹の中で育てていると思えば、自分の欲求よりそちらが大切になるのはあたり前。
それにこの勢いで本能のままに抱き合ったら、赤ちゃんをびっくりさせてしまうことうけあいだ。
「安定期までお預けだね」
「産後、体が回復するまでじゃないのか?」
キョトンとして私の目を覗く叶多くん。男の人はあまりピンとこないよね。
「無理しない程度ならいいみたい」
「無理しないって……そうか、なんとか努力してみよう」
少し考えてから、自信なさげにそう言った叶多くん。今まで私に無理させていた自覚があるのだろう。
肩を竦めて小さくなる彼がかわいらしくて、クスクス笑ってしまった。