敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

「城後社長……頭を上げてください、謝らなければならないのは私の方だ。トーレス氏の大切な人を間接的にだが奪ってしまったのは、どうやら私のようですし」

 父たちもお互いいい大人で、会社のトップを担っている人たち。誤解を認めて真摯に謝罪する姿はさすがだった。

 私は隣同士のソファに座る叶多くんと目を合わせ、胸を撫で下ろす。

 母たちも安心したように肩の力を抜き、お互いに頭を下げ合っていた。

「ところで八束社長、実はうちの次男があの計画をまだあきらめていなくてですね」
「と、言いますと?」
「隆多、ご説明を」

 城後社長が目配せをすると、隆多さんが書類を手にして立ち上がる。

「こちらが事業計画案です」

 隆多さんは顔のつくりが叶多くんそっくりで、ふたりが並ぶとなんて見目麗しい兄弟なのかとうっとりため息をつきたくなる。

 違っているのは、隆多さんの方が目が丸く幼い印象なのと、いつも口元がニコニコ笑っているところだろうか。どちらにしろ、間違いなくイケメンだ。

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