敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
「好き……大好き……っ」
「ああ……っ。俺も、愛してる……っ」
こんなにも熱く求め合ってしまったら、彼に惹かれていく気持ちに、歯止めが聞かない。
あわよくば、この逢瀬が一夜の過ちではなく、彼との永遠の始まりでありますように。
切なる願いを溶かしながら、ひと晩中、さらに朝まで叶多くんに深く愛される。
その証が自分のお腹に宿っていると気づいたのは、日本に帰国してからのことだった。
* * *
「どうしよう……」
晴れ渡った空が広がる昼過ぎのマドリード。宿泊予定のはずだったホテルの前で、私は肩を落とした。
およそ三十分前に、日本からおよそ十六時間のフライトを経て、マドリード・バラハス国際空港に降り立ったばかり。そこからから徒歩でホテルに移動し、荷物を預けていざ観光。
そういう計画だったはずなのに……。
深いため息をこぼすと、キャリーバッグを引いて人の往来を妨げない日陰へといったん移動する。
肩から斜め掛けしている小さなバッグからスマホを取り出し、ホテルから送られてきた予約完了のメールを再度確認した。