敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
「翼くぅ~ん、どうちたの」
「ごめんね、じぃじたち、うるちゃかったでちゅね~」
結婚前に必死で和解させようとしていたのが馬鹿らしくなってしまうくらい、あっさり意気投合するふたり。
なんだか脱力してしまう光景だが、仲が悪いよりずっといい。
しばらくして、仕事の電話で席を外していた叶多くんが個室に戻ってくる。
そのときちょうどふたりのじぃじは競うように「べろべろばぁ」と変な顔を作っていたので、叶多くんは一瞬引いたのち、こらえきれずに噴き出していた。
私は翼を育てながら無理のないペースで翻訳の仕事を続けつつ、着々と絵本や児童文学に携わる機会を増やしていた。
徐々に名前も知られてきているので、翼が幼稚園に入る頃にはもっと本腰を入れて活動できたらと思っている。
叶多くんは相変わらず多忙ながらも、時間の空いた時には翼の相手や結婚式の準備にも時間を割いてくれる。もちろん、妻を甘やかすことも忘れない。
夫婦生活は産後半年後くらいから再開し、叶多くんが早く帰宅できた日は、翼が眠った後で濃密な時間を過ごす。
疲れている叶多くんを早く休ませてあげたい気持ちもあるので時々遠慮するのだけれど、彼によると『美来を抱くのは疲れない』らしい。