敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
「大切な恋人をソファで寝かせるわけがないだろ」
大人の男性の色香を纏った彼の眼差しに、さっき自覚した気持ちがむくむくと膨らんでいくのを感じる。
大切な恋人というのは、ただの方便。何度自分にそう言い聞かせても、歯止めが聞かないくらいに。
「でも、そうしたら叶多くんは……?」
「さあ。言ったろ? この先は美来次第だ」
「その言い方、ずるい」
「どうして?」
「私は、叶多くんがどうしたいかを知りたいの」
恥を忍んで、本音を告げた。
絡み合ったままの視線が、熱を帯びていくのを感じる。
「俺は――」
叶多くんの瞳が物憂げに伏せられ、濃い睫毛が彼の頬に影を落とす。
しかし、次に視線を上げた時の彼は、強い覚悟を湛えた目をしていた。
「俺は、美来に触れたい。きみには昔から惹かれていたけど、再会して、今日一日をずっと一緒に過ごして……改めて素敵な女性だと思った。きみがほかの男と結婚するなんて、考えただけで耐えられない」
「叶多くん……」