敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~
妙にかしこまった返事をしてリビングを出ると、廊下に置かせてもらっていたキャリーケースから洗面用具や着替えなど必要なものを取り出す。
ひとり旅のつもりだったから、寝巻用に持ってきたのは涼しくて楽ちんなキャミソールワンピース。胸元の露出は多いし丈は膝上だし、なんだか心許ない。
ま、どうせ脱がされてしまうけど……。
心の中で呟いた直後、叶多くんとそうなる妄想が勝手に頭に浮かんで、頬に熱が集まる。
自分で望んだことなんだから、覚悟を決めなさい美来……!
着替えをギュッと胸に抱き、大きく深呼吸をしてバスルームに向かった。
シャワーの後、スキンケアとヘアケアを済ませてリビングに戻ると、そこに叶多くんの姿はなかった。寝室を片づけているのだろう。
テーブルに置きっぱなしになっていた自分のスマホを回収し、廊下に出る。
寝室と思われるドアをノックすると、「どうぞ」と彼の声がした。
「叶多くん、お待たせしました……」
声をかけながら、室内に足を踏み入れる。