敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

 どうしたんだろうと思いつつも言われるがまま本を受け取ると、叶多くんは本棚の逆側に位置するクローゼットの前に移動して、中を物色し始める。

 彼の下着などを目の当りにしたら気まずいので大人しく本棚に本をしまう作業を始めると、最後の一冊を押し込んだところで、ふと背後に叶多くんの気配を感じた。

 振り向こうとした瞬間、そのまま抱きしめられてしまう。

「か、叶多くん?」
「かわいすぎるだろ、この部屋着。ついでに色っぽいし」

 ため息交じりに呟く彼が、大きな手で私の肩を撫でる。そのうち、キャミソールの細い肩紐を指で弄び始めた彼に、ドキドキはますます高まっていく。

「そ、そうかな……」
「そうだよ。急いでシャワー浴びてくるから待ってて。それから、じっくり脱がしてやる」

 叶多くんは内緒話のように耳元で囁き、私からスッと離れた。

 そして彼が部屋を出て行きドアが閉まる音がすると、私はへなへなとその場に座り込み、火が出そうなほど熱い顔を両手で覆い隠した。

「色っぽいのはあなたの方です……」

 思わずそうひとりごち、しばらく放心する。

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