敏腕外交官は傷心令嬢への昂る愛をもう止められない~最上愛に包まれ身ごもりました~

 なんとか認めてもらおうとしたディエゴは、『五年待ってくれ』と戦争に出かけ、富を手にするために戦い続ける。

 イサベルもまた一途に彼を待っていたが、約束の日が近づいてもディエゴから便りがなかったため、戦争で命を落としたのだと思い込んでしまった。

 失意の中、イサベルは約束の日に父親の決めた縁談相手と結婚。

 しかし、ちょうど結婚式が行われたその日にディエゴが帰還し、イザベルの裏切りを信じられずこっそりと彼女に会いに行った。

 そして彼女に口づけを迫ったものの、すでに夫がいるイサベルに拒まれたため、ディエゴは絶望しその場で命を落としてしまう。

 口づけを拒んだばかりに彼を死なせてしまったと後悔に苛まれたイサベルは、ディエゴの亡骸が安置されているサン・ペドロ教会に駆けつける。

 そして二度と目を覚まさないディエゴに口づけをすると、後を追うように亡くなってしまった――。

 どこか、ロミオとジュリエットを彷彿とさせるストーリーだけれど、あちらが完全に創作の物語であるのに対し、イサベルとディエゴはテルエルの町に実在した男女。

 のちにサン・ペドロ教でふたりの亡骸が発見され、今は教会の隣にある霊廟《れいびょう》に安置されているというのは、観光サイトなどにも載っている有名な話だ。

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