貴女は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
第1王子に対する閨教育の座学も始まっていて、周囲から見たら、本当はクロエ嬢の事が好きなのに、思春期男子特有の羞恥心と劣情と愛情と何だかんだ縺れて、素直に対応出来なかったのだろう。

対するクロエ嬢は、殿下より精神年齢は5歳くらい年上で、そう言われても平気なように見えた。
それでまた、殿下は傷付いた。

でも、それは平気なように見えただけで、彼女は平気じゃなかった、当然だけど。
……それがわからない殿下は、狡いことに
『結婚は君とするけれど』なんて、言いやがって1学年下のミレーユ何とか伯爵令嬢と仲良くなって……

それが恋だったのか、何なのか、俺にはわからない。
いつも横に居た俺にさえ、リシャール殿下はあの伯爵令嬢との仲がどうだったのか、未だに言わないから。

ただ、クロエ嬢が父親を通じて国王陛下に婚約解消を願い出て、慌てたリシャール殿下が謝って謝って謝り倒して。
高等部に進級しても1年以上ふたりはぎくしゃくしてて、冷却期間の後いつの間にかまた仲良くなったけれど、リシャール殿下はいつもびくびくしている。
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