貴女は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
「何か御用があるのね?
 私が殿下の代わりにお聞きしてもよろしいでしょうか?」

悪役令嬢がしゃしゃり出てくんな!
リシャールに愛されてもいないくせに!
そう言いたいのに言えない。
だって、あたしはヒロインだから。
ヒロインはそんなこと、言わないもんね?


「用なんて無いです。
 久しぶりに会えたから、お話したかったんです……」

クロエにじゃなくて、ドミニクに訴える。
貴方は、弱い乙女にキツく出られない筈。
妹属性強めに出すね。
貴方は妹を思い出して、あたしを……


「失礼ながら、お話したいからと言っても、簡単にはお話し出来ないのが王太子殿下ですよ」

「あたしはこの国の民よ!
 彼はそんな風に民との会話を邪魔されたくない筈よ」

「何か、民として伝えたいことがあるのなら。
 ……では、王城で陳情の列に並ばれては?」


何なの!何でなの!
ドミニク、貴方はあたしの事好きで好きで、リシャールに決闘を申し込むんじゃなかったの?

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