貴女は悪役令嬢ですよね？　─彼女が微笑んだら─

７【伯爵令嬢】ミレーユ

いつもあのひとを見ていました。
普段は落ち着いた物腰で感情を露にされないのに時折弾けるような笑顔を見せられる御方でした。

私の１学年上に在席されていましたが、本当は
３つ年上らしいと、誰かが言っていて。
それでなのねと、納得致しました。
誰よりも大人びていて、お優しい御方。


その日も私は同級生の女生徒達から囲みを受けてしまいました。
おどおどした私は、女性から見たら『あざとい』らしくて、皆様の何かを刺激すると何度もそう言われておりました。

お昼休みの音楽室で。
いつも火曜日はそこに呼び出されるのです。
手を上げられることはなく、ただただ罵られる
だけ。
いつも心を無にして、言われた言葉を記憶に留めないように努めていました。

すると、その日はそこにリシャール殿下がいらっしゃったのです。
殿下の両隣にはお馴染みの、ドミニク・フランソワ様とアンドレ・マルタン様が……


「火曜日の昼休みになると、ここで苛めが行われていると生徒会に投書があった」

「全員、名前とクラスを申告してから、ここから出てもいいよ」

リシャール殿下に続いて、フランソワ様が楽しそうに仰せになりました。
難しいお顔の殿下とは対照的でした。
< 20 / 72 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop