貴女は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
それはクロエ様の事をお話になる殿下のご様子からも察することが出来ました。
とても柔らかな表情で、愛おしげにその名前をお呼びになるのです。
「最初はドミニクなのかと思ったんだけれど。
アンドレだね? あいつを見ているだろ?」
それはある日の午後の事でした。
朝、中等部の玄関ホールでお会いした殿下にお声を掛けていただきました。
まだ殿下のお隣にはフランソワ様はいらっしゃらなくて、背後に立っておられるマルタン様もいらっしゃらなくて、殿下はおひとりでした。
「アンドレの事で大切な話があるんだ。
午後の授業を抜けられないか?」
いつもお優しい顔をした殿下の表情がとても硬いものでしたので、私は頷くしかありませんでした。
午後の生徒会室には、殿下とふたりきりでした。
側近のフランソワ様も、護衛のマルタン様もいらっしゃらない……ふたりきりの部屋でした。
とても柔らかな表情で、愛おしげにその名前をお呼びになるのです。
「最初はドミニクなのかと思ったんだけれど。
アンドレだね? あいつを見ているだろ?」
それはある日の午後の事でした。
朝、中等部の玄関ホールでお会いした殿下にお声を掛けていただきました。
まだ殿下のお隣にはフランソワ様はいらっしゃらなくて、背後に立っておられるマルタン様もいらっしゃらなくて、殿下はおひとりでした。
「アンドレの事で大切な話があるんだ。
午後の授業を抜けられないか?」
いつもお優しい顔をした殿下の表情がとても硬いものでしたので、私は頷くしかありませんでした。
午後の生徒会室には、殿下とふたりきりでした。
側近のフランソワ様も、護衛のマルタン様もいらっしゃらない……ふたりきりの部屋でした。