貴女は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
「単刀直入に聞くけれど、君はアンドレを婿入りさせたい程に真剣に想っているの?」

「マルタン様を婿入り……」

いきなりのお話に慌ててしまいました。
婿を取ることは決定していますが、それはまだ
お相手も決まっていなくて、14歳の私の中では
具体的なものは何も無かったのです。


「アンドレ・マルタンは伯爵家の四男だ。
 継ぐ家がないから、14で騎士団に入団した。
 私の護衛になったのは偶然かと思っていたが、そうではなかった」

「……」

「それが何故かは詳しい話は君には出来ない。
 王妃陛下がアンドレに然るべき縁組みを探している。
 下調べに時間を掛けて、じっくり相手を探すおつもりだ。
 君が本気なら、私は王妃陛下に君を推薦する。
 どうするか、お父上と相談して返事をして欲しい」

「殿下、どうしてその様に……」


お優しくしてくださるのですか?と。
続けようとして、私の言葉は止まりました。
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