貴女は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
せっかちなルイは、開始直後に婚約破棄を突きつける筈。
待たせないから、と。
ただ、彼の安全も気になったから、1時間待っても私が出てこなければ、この場から立ち去って、とは頼んでいた。


だからガブリエルはそんなに待ってはいなかった、と。
優しい彼はずっと待っていたかもしれない、と。

何度も何度も考え続けた。
……それは王妃となり、アンリとの間に2人の
王子を授かった今でも。


このまま無事にリシャールと共に、アンドレが高等学院を卒業したら。
彼をどこかの貴族の家に婿入りさせよう。
王太子に6年以上付いていたアンドレだ。
後ろ楯に王家が控えていたら彼の将来は安泰だ。


若かりし頃のカブリエルを彷彿とさせるアンドレは、私にとって、手に入れられなかった彼との
息子を想像させる存在になっていたのかもしれない。

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