貴女は悪役令嬢ですよね？ ─彼女が微笑んだら─

クロエは言いたいことだけ言い、立ち上がった。
話したのは、今日が初めてだった。

光の乙女は18の成人を迎えると、その力を徐々に現すので、俺様はよく校舎や校庭を徘徊していてそんな時に感知してクロエを捕まえたのだ。


昼休みの中庭だ。
周囲には他の生徒達もいたが、奴らの記憶は幾らでも書き換え可能で、掴んだ腕から精気を吸いとってしまえばよかったのに。

それをせず俺様は周囲にシールドを展開した。
外からは俺達は認識出来ず、会話も聞こえない。
乙女の瞳には俺様に対する恐れは無い。
その上クロエは正確な発音で、俺の名前を口にしたのだ。


「◯△✕□#∞、痛いです、離してください」


　◇◇◇


「失せろ」

よくわからない女が最近、俺様の周囲をうろつき出した。
ヘラヘラ笑って不気味な女だ。


「あたし、光の乙女ですっ！」

「……光の乙女って何だ？」


何を知っているのか分からんが、本物の光の乙女なら、俺様の目の前に来て自己紹介しないだろ！

クロエから何か聞いてるのか？