貴女は悪役令嬢ですよね？ ─彼女が微笑んだら─

実は俺が現国王の異母弟であると、同じ年の王太子に話す予定はなかったので、必要がなければ『甥』には近寄ろうとは思っていなかったし、事情を知っているクロエ様も、婚約者の王太子に俺のことを伝えるつもりはないようだった。


兄である国王には王子がふたりと王女もひとり居て、今更王位継承権４位の復権なんて、どうでも良かった。
俺の望みはこのまま商会の商売を広く大きくする事だからだ。


ところが、目立たず静かに学生生活を終えたい俺に近付こうとする距離感のおかしな女が現れた。
同時期に編入した自称BBこと、ブリジット・ビグローという女だ。

転入初日の職員室での初対面から飛ばしてきた女で、『BBって、呼んでいいからね』なんて言いながら、俺の腕に胸を押し付けてきた。


何だ、こいつ？朝の職員室で何するんだ？
ライバル商会の娘がハニートラップ仕掛けて俺を誘惑して、ウチの商会を探ろうとしてるのか？
17の娘にこんな真似をさせるなんて、父親は最低だな！


「あたしもアドリアンって、呼ぶからね？」

「いや、普通にブリュロワールって、呼んでください」

「えぇっ、どうしたの？何か大人しいね？
　設定と性格違うね？」