貴女は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─

14【王太子】リシャール

予定より2日早く、帰国した。
訪問先の隣国が準備してくれていた行事は全部参加して、失礼がないようにしてきたのに、国王陛下からは顔を拳で殴られ、俺は大いに減点された。

俺が急いで帰国したくて『体調不良』を理由にして直前にキャンセルした行事は、母国大使館で行われた王太子使節団さよならパーティーだったから、言うなれば身内だし大して問題にはならないと判断したのに、それが国王陛下の逆鱗に触れた。

『恥知らずにも臣下に嘘をつき、心尽くしの宴を開こうとしてくれた自国の民を大切に出来ない
王族を、誰が支えると言うのだ!』と。


臣下あっての王家だと、痛みと共に諭されて、己の至らなさを後悔したけれど。

俺は公私混同甚だしい馬鹿な王子です、すみません……


こんな疑いは持ってはいけないのだが、国に置いてきたクロエが心配で……
それもこれもアドリアン・ブリュロワールのせいだ。
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