貴女は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
先ずは、第2王子様のシャルルの前に行って挨拶をする。
短くした制服のスカートを両手でつまんで、少しだけ膝曲げて、頭をちょこんと傾けたあたしは可愛く見えてるよね。


「はじめまして!
 ブリジット・ビグローと申します!
 よかったら、BBって……」

「呼ばないけど」


聞き違えたのかと思った。
だけど、一言だけ返事をしたシャルルの顔には何の表情もなくて。
直ぐに視線を逸らされてジュールに話しかけてる。


「遅いね?」

「もうすぐ、いらっしゃいますよ」

何なん? ふたりで楽しそうに視線絡ませて。
シャルルに対するジュールの表情や言い方、めちゃ優し……
漂う雰囲気はブロマンスって言うより、BLじゃん……

触れてはいけない世界を見た気がして、ちょっと離れた所に居たアドリアンに近付こうとした時に音楽室の扉が開いて。
リシャールとドミニクとアンドレが入ってきた。
< 56 / 72 >

この作品をシェア

pagetop