貴女は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
やだ~、ドミニクだけじゃなかったんだ!
リシャールとアンドレは顔見るの、半月ぶりぐらいじゃない?
これでノワール以外の攻略対象者の勢揃いや!

リシャールが来たんならシャルルやアドリアン
なんて後回しだよ。
あたしの一番の推しはリシャールなんだもん!


「近寄るな!」

まただよ、アンドレの奴はまた。
あたしとリシャールの間に立ち塞がって。


「忙しいのに集まってくれて、ありがとう。
 手短に済まそう」

あたしを無視してリシャールは皆を見回してそう言った。
手短に済ます?
アドリアンもやって来て、皆であたしを囲むみたいに立つ。

放課後に呼び出して、このシチュエーション、まるで苛め?
そう思ったら、急に背筋が寒くなる。
口火を切ったのは、リシャールだった。


「私が外遊に出ている間にクロエが君を苛めている、って噂が広まっていたらしいね。
 私は生徒会長だから、そんな噂を放置出来ないし、事実確認したくてね。
 被害者の君から詳しく話を聞かせて貰いたいと思っている」

良かった! リシャールもドミニクも笑顔だ。
被害者の私の証言が必要って訳ね。
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