貴女は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
ドキドキさせないでよ。
悪役令嬢の断罪に必要な証言、聞かせてあげるね!


「……と言うのは建前で」

「建前?」

私の問いに答えてくれたのはリシャールじゃなくて、ドミニクだった。


「その噂を一生懸命に流そうとした君には気の毒だけど、この学院の生徒は誰ひとりとして、それを信じていないから」

「どうして信じて貰えると思ったのかな?」

口を挟んだシャルルに、アドリアンが答えた。


「校内案内をちゃんと受けていないから、ですよ。
 ビグローはサボって逃げていました」

「やっぱりバカだね!」

あたしのことをバカと笑いながら言うジュールを睨んだけど、このサイコ野郎は平気そうだ。


「校内案内が何なのよ!
 それ今、関係あんの?」

ジュールだけじゃなくて、皆があたしをバカにしてて笑っているけど、目は冷めてる。
あたしはやっと気付いた。

ここはあたしが断罪される場だ。
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