貴女は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
自分が悪役令嬢ヒロインのゲームに転生したと気付いたのは3年前。
婚約者のリシャールから『本当の恋をしたい』なんて、たわけた願いを聞かされた時だった。

あれ、何、これ?
婚約者に向かって最低な事を言い出した無神経なリシャールの顔を呆れて見ながら、何故かこの場面既視感あるなぁ、って思って。
そしたら急に頭の中を様々な情景がいくつも通りすぎて行った。


ご令嬢と中等部の生徒会室で密会しているのがバレて、謝り倒してくるリシャール。
王城の廊下で、私の腕を掴んで空き部屋に連れ込もうとするシャルル。
会話はしないのに、いつも熱い眼差しで気持ちを伝えてくるアンドレ。
リシャールに対して怒りを隠しきれなくて、複雑な表情で私を見ているドミニク。
色気駄々もれのご様子で、誘惑してくるノワール。
頭の中じゃ義姉を監禁しようかと鬼畜な事を考えてるのに、表面上は家族の顔をして甘えてくる
ジュール。
学院以外の場所で距離を詰めようと、城下の祭りにしつこく誘ってくるアドリアン。

攻略対象者達がそれぞれ甘い声で、私の名前を呼び手を差し出してくるオープニングだった。
それで気付いた。

私はこの先を知っている、って。
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