フユノサクラー真冬の夜、恋の桜が舞ったー
=雑食系集う⑬=



「じゃあ、先生…。要するに、皆それぞれのイメージでいんですね?とりあえずは、その各意見をグループ内でぶつけ合っていけば…」


『そう言うことですよ、A君。態度を決定する前の議論ですから。要は中二のあなた方に、自分の頭で社会全体を考えてもらうことが主眼なんです。いうまでもなく、その社会は自分自身が生きていく社会になる訳ですから、最初に皆さんが声を揃えた通り、幸せに生きたいってことが出発点です』


「わかりました」


『…折原さん、雑食系グループでまずは意見を出し合ってみて。それで行き詰ったりや迷ったりがあったら、その都度先生に言ってちょうだい』


「はい。まずは始めてみて、それからですね?」


ナナボシ先生は笑顔で「はい」とだけ答えた…


***


『他に、質問はありますか?』


「はい、先生!」


今度は夏本芽路奈が手を上げると、またもやニッコリと笑み満面の先生が発言を求めた


「先生が言うように、私たちは中2ですから、実際の社会には出ていません。親に養われて学校に通ってる身分です。ですから、この国のこれからのよりよい社会ってのも、身近な実感が湧いてこないんです」


さすがに皆、頷いている…


「…幸せになりたいということも、将来的にはって漠然とした捉え方しかできなくて…。その辺、今の私達にもっと身近かな、ダイレクトにわかる具体的イメージが欲しいんですが…」


『これもごもっともな意見ですよ。では、あなた方の年齢相応でもっとも実感の湧くイメージをね。人が幸せに暮らせる社会では、素敵な恋が出来る…。こう捉えたらどうかしら?』


”ええー?”


思わず3グループほぼ全員が仰け反った…





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