フユノサクラー真冬の夜、恋の桜が舞ったー
=雑食系集う⑭=




「そんなんでいいんですか…?」


肉側に立っている女子がすっとんきょな声で先生に確認した


『ええ。先生だってあなた達の年頃は、それこそ恋に恋してましたから。今の時代で言えば、みなさん、恋に発情してるってとこじゃあないですか?』


「アハハハ…」


「やだー、先生ー。発情だなんて…」


さすがにクラス中が爆笑だった



***



『単純に考えて、人が幸せに暮らせる世の中でなければ、いい恋もできないと思いますよ。極端な話、第2次世界大戦中なら、ドイツ人の男の子がユダヤ人の少女を好きになっても、素敵な恋を実らせることなど叶わなかったでしょう。こんな視点で考えてみてはどうかな』


「そうですよね。戦争は極端にしても、より良い社会を目指していかなければ、恋も自由にできない不幸な世の中を招いてしまうかもしれませんし。私、絶対いやだわ。ステキな恋もできない社会なんて」


『夏本さん、その気持ちをベースにして、まずは今の世界情勢にの中で、日本がよりよい社会を保って行くためにはどんなスタンスで世界と接して行けばいいのか…。それを、じっくり考えてみてください』


「はーい、一生懸命考えてみます。その結果、雑食系以外を選んでもいいんですよね?」


『ええ、一度こっちかなと決めても、みんなの意見を聞いて、やっぱりあっちかなもアリです。3月までの間にグループ内で導き出した最終結論と自分の選択が違う場合だってあり得ますから。自分の考え、いえ態度はしっかり主張していってください』


”はーい!”


ここでほぼ全員が納得の返事だった




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