フユノサクラー真冬の夜、恋の桜が舞ったー
=とりあえずとす…⑧=




芽路奈と久珠子が教室を出た後、末樹と流二は黒板の前で向きあっていた


「ナナボシ先生の臨席は、まず女子二人から同意を取ったわ。今見ての通りよ。私の意図と理屈はわかったと思うから、あなたにはまず、”こっちの件”から同意してもらえる?」


「ああ…。今、お前が夏本と仙川に突きつけたことには、オレも納得だ。まあ、当面先生が同席くらいじゃなきゃ、ウチらのグループ、全員出席なんて確かに難しい感じだしな。他の男連中には、オレから話をつけるわ」


「えっ?…ああ、ありがとう…」


末樹はカンペキ、拍子抜けだった…


***



「そこでだ、オレを共同で代表っての、これ…、何の目的からだよ!」


「目的と問われれば、ロクに話し合いもしないで一方的に私を代表に押しつけたからよ」


「じゃあ、いやがらせか?」


「…まあ、そんな気持ちはあったかな」


末樹は変に気張らず、心のあるがままで答えた


いや、なぜだかこの場では答えられたのだ


***


「お前さ…、午前中のあの場でだよ、オレが丁寧に話をしたとして、代表を納得して引受けたか?」


「うーん、最後まで突っぱねてたかもしれない。代表なんて正直、面倒だし、責任負うの嫌だし…」


「じゃあ、オレと一緒だわ。それならだ、あの後いくら話を続けても平行線だったんじゃないか?」


「そうかもね」


「で、どうする?オレとしては、確かに自分勝手な理屈でお前に面倒な代表役を押しつけたこと、認めるし反省もする。詫びろって言われれば謝るよ。それで結論は、”じゃあ、わかった。代表は私やるよ”、ってことになるのか?」


「…」


末樹は即答できなかった





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