フユノサクラー真冬の夜、恋の桜が舞ったー
=マッキの本気②=




マッキの手には、クリアケースに入った”報告書”が収まっている


それは、大切な重要書類を抱える姿そのものだった


”ふう‥、やっとできた。でもコレ、二人の合作だよ。りゅーじんと私の…”


まさしくだった…


雑食系グループの第一回討論報告書は、マッキとりゅーじんの共同作業による証にほかならなかったのだ


その完成をみたのは、一昨日であった


***



教室内で机を並べた二人は、総仕上げの作業に入っていた


「最後にはさ、次回の議論に繋げる問題定義みたいなもん書き出すか?」


「いいね、それ…。要はこの課題討論、5回で結論を導くわけだから、毎回の区切りはできるだけ明瞭にしたいしね」


「ああ、じゃあ、ここんとこのフレーズ持ちだしってのどうかな…?」


マッキとりゅーじんは、クラスの目も気にせず、二人の共同作業は堂々としたものだった


***


「おう、マッキ&りゅーじん、報告書作成ご苦労様。これ、差し入れね。ラッセル&コンボイから」


”仲間たち”からは日替わりで、ささやかな差入れが届けられた


マッキはその友情味付きの差し入れを口にするのが、病みつきとなりかけていた


***



「ああ、りゅーじん、お前らに対抗意識燃やしてさ、肉組と草組が手を組みやがったぞ。ガリ勉二人が連合で張り切ってるらしいや。負けんな!」


「あのなあ、コンボイ…。勝ち負けじゃあねえだろ、この課題はよう。それより、この差入れの”連名さん”はどうした?」


「今日は早めに帰った。大事な用とかでな」


「相棒の大事な用、お前は付き添いしねーでいいのか?」


「ああ。プライベートは詮索しないのが二人のルールさ」


「…」


りゅーじんとコンボイのやり取りに、やや妙な間があった


そして、そのことを、その場にいたマッキも微妙に感じ取っていた…





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