フユノサクラー真冬の夜、恋の桜が舞ったー
=マッキの本気⑫=




気が付くと、彼ら6人を覆っていた重苦しい空気は立ち去っていた


曇りのち晴れ…


仲間を思う純粋な気持ちが、分厚いどんより雲を追い払ったのだ


ただしマッキの瞼からは、今だお天気雨が上がっていなかったが…



***



「…ナツメロとコンボイも”それ”でいいのか?」


「いいわ。大賛成よ」


「オレもだ。ただしだ、先方にはくれぐれも、恋人同士に間違われないようにな。ハハハ…」


コンボイの言に続いて、他の仲間たちは晴れやかな笑い声を競うように上げ合った


瞼を腫らしたマッキも…



***



その後…、りゅーじんはマッキを伴って、ナツメロから告げられた2年のテニス部員の元に向かった


2Aの教室を出た二人は、並んでローカを歩いている


足の長さはだいぶ違うが、不思議なほど歩調が合っていた


二人の体の隙間はたぶん、50センチ程度だったろう


マッキが右横を向くと、視界は彼の肩と首の間を捉えた


なぜかその身長差が、彼女にはとても新鮮に感じられた…


そして、マッキは再び正面に顔を向けた



***



そこには、まっすぐなローカが続いている


彼女の左側からは、真冬の西陽が眩しく射し込んでいた


その西陽の穏やかな光が目の前のローカに反射した


ふと…、マッキには今歩いているローカが線路に映った


まっすぐに続く2本のレール…


”私たちが今、向かっているのは2年B組…、そこが目的地。でも、いつか違う目的地に向かって、こうして並んで歩きたい。この人と…。二人の隙間、50センチをもう少し埋めて…”


折原末樹は思わず胸の内で唱えた


”恋のレール、見つけた…❣”




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