フユノサクラー真冬の夜、恋の桜が舞ったー
=仲間たちの行動⑦=




「…オレたち二人は、クズコの仲間6人を代表して、大人の事情を学校に持ちこんでベラベラしゃべり巻くった人間を突きとめて、軽率な行為だったことを認めさせてきたんだ」


ここでりゅーじんは、ポケットから折りたたんだレポート用紙をとりだして広げた


そしてそれをクズコの前に差し出した


「お前には、差し出がましいマネに映るかもしれないが、その3年の女子からは、はっきり反省と謝罪の言葉をもらったよ。もっとも、クズコに嫌がらせしようとか、そんな意図は全くなく、軽いノリで2年の後輩とかにもしゃべった結果、ああやって広まったようなんだ」


「クズコ…、その先輩、私たちの前に先生には自分の行為を認めて反省と謝罪の気持ちを申し入れてたわ。それでもう、みそぎは終わったって感じだった。でも、クズコが今言った通り、学校の対応なんて表っつらだって、加害者側も承知だから、とりあえず謝っとけってそんなとこよ。それじゃ意味ないって、私たち思ったの。それで、その先輩の気持ちをしっかり確かめたわ。その証で書面ももらったの」


「…」


クズコはさほど表情は変えず、無言でその書面をじっと見下ろしていた…


***


「それで、クズコの家の件、元々の”出所”はウチの病院からなんだ…。<中略>...という訳で、クズコ、オレはお前に謝らなくちゃ。今回は申し訳なかった。許してほしい…」


りゅーじんは正座してクズコに頭を下げた…


「…」


今度はマッキとクズコが顔を見合わせた


***



「りゅーじんが私に謝るの、筋違いでしょ。さあ、頭上げてよ」


りゅーじんはゆっくりと頭を上げた


「でも、うれしいよ。ありがとうね、マッキ、りゅーじん…」


この一言で、マッキとりゅーじんは胸を撫でおろせたことだろう


複数の意味で…






< 55 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop