フユノサクラー真冬の夜、恋の桜が舞ったー
=別れという響き①=




「…この紙、私が持ってていいの?」


「うん。…いいんだよね、りゅーじん。今日の証拠だもんね?」


「ああ、もちろん」


「私にとっては謝罪もらった証拠っていうよりも、仲間たちからの友情の証になるかな。…ナカマか。なんか、いい響きね。トモダチってのとはまた違った響きよね」


クズコは目の前のレポート用紙を手にしながら、独り言のように呟いた


「…」


”よかった…。やっぱり、みんなで知恵を出し合って導いた行動は間違ってなかったんだわ…”


マッキはそう自分に言い聞かせながら、クズコの今の姿を目に焼き付けていた


***


「えっ…、そんなに早く引っ越さなきゃならないの?」


「うん。もう入札期間とかも決まったみたいだし、移り先はだいたい目星つけてるのよ。できればさっさとカタ付けたいって両親も言ってるんだよね。3月中にはここから引っ越すと思う。場合よっては、もっと早まるかな…」


「そうすると、雑食グループの討論は何とか間に合わせられても、報告会までには無理ってことになるかしら…」


「そうなると思うわ。残念だけど…」


「でもさ、今度んとこから通えば、学校にいられるんだから、一緒に最後まで…。えっ?クズコ、ひょっとして引っ越し先、学区外なのか?」


「まあね」


「…」


マッキとりゅーじんはまたも顔を着き合わせて愕然としていた…





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