フユノサクラー真冬の夜、恋の桜が舞ったー
=別れという響き②=



「マッキ、りゅーじん、今日はわざわざ来てくれてありがとうね。他の仲間にはメールしとく。ああ、ラインでもね」


「じゃあ、明日、学校でな」


「バイバイ、クズコ」


二人がクズコの家を出たのは午後5時半だった



***



「ねえ、りゅーじん、何とかクズコに長期課題の報告会まで一緒にできる方法ないかな?」


「うーん、何しろ県外に転校じゃあな…。参ったな」


「私さ…、今の7人で何としても最後の報告会やり遂げたいよ。…最初はみんなバラバラで、それこそ空中分解だっただろうけど、何とか最初の討論会やれてさ、その過程で”仲間”になれたんだもん」


「とにかく、明日、学校でみんなと相談してみようや。今日みたいにみんなで知恵を絞れば、何か打開策が浮かぶかもしれないし」


「そうだね…。まずは仲間7人で話し合えばいいんだ」


***


「…りゅーじん、わざわざ遠回りして送ってくれてありがとう!」


「いや、さすがにこう暗くなっちゃ、こっちも心配だしな。…”ここ”が、いつも楽しい家族の会話が飛び交っている家か…」


「まあ…、そうだけど…」


マッキは何とも歯切れの悪い返事で答えてしまった


「やっぱり、そういう家は外から見ても違うな…」


「りゅーじん、そんなこと言わないで。なんか、私…」


「ああ…、悪い、悪い。しんみりさせちゃったな。とにかく今日はお疲れ。じゃあな」


”最後は手を振って笑ってくれた。でも、私はあなたのもっと違う笑顔を見たいよ、りゅーじん…”


マッキは、暗がりに呑み込まれるりゅーじんの後ろ姿に向かってそう語りかけていた…






< 57 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop