フユノサクラー真冬の夜、恋の桜が舞ったー
=別れという響き③=



”ガタンゴトン、ガタンゴトン…”


午前7時40分…


私鉄電車の線路高架下…、誠川(まことがわ)の河川敷には”いつもの光景”が展開されていた


土手上では、その風景を登校中の小学生が立ち止まって、熱い視線を送ってる


だが、やんちゃ盛りの彼らも、決して”その風景”に声援の声などは投げなかった


決して…!


これが毎朝の暗黙のルールであったから…



***



いずれにせよ、”この日”の熱の入りようはいつも以上だった


それは、少年二人の気勢飛び交う様が物語っていた


”うぉー…”


”おおー…”


”どうした、ラッセル、そんなもんなのかー⁉”


”何をー⁉まだまだだーー‼”


結局、この日の綱引きは、およそ3分半の攻防だった


その結果、いつも通りコンボイに軍配が上がった



***



”朝の日課”を終えた二人は、タオルで汗を拭ったあと、河っぺりに並んで腰を下ろした


「…じゃあ、もう決めたんだな?」


「やっとな。…相棒のお前には最初に報告しようと思ってたからさ」


「ホントに後悔しねーか、ラッセル…」


「それも含めての決心だわ。部屋の親方が高校の方をクリアしてくれたんで、親も仕方ねーかって折れたしな(苦笑)」


「そうか…」


「まあ、不安はあるさ、そりゃあな」


ラッセルは普段見せない表情を受けべていた


そんな相棒を、コンボイは何とも複雑な面持ちで見つめていた…






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