フユノサクラー真冬の夜、恋の桜が舞ったー
=別れという響き④=




「…うん、さんざん悩んだ結果だ。相棒の歩む道に、今さらあれこれ言わねえよ。まあ、ガンバレ。応援してるから」


「しかし…、門出の日までには何とかお前に引き勝ちたいぜ」


「いやあ…、正直、ここんとこは辛勝続きだわ。今日なんか、負けても不思議はなかった。まあ、簡単にはオレを引かせねえけどな」


「ああ、手は絶対抜かないでくれ。温情で一矢報いても意味ねえからよう」


二人の中学性は、微笑を浮かべて顔を見合わせた

一旦は

まず、とりあえずは…



***



「…それじゃあ、来月、九州か…」


「2週間らしい。先日、親方が家に来た時は、まだ正式日程まで決まってないってことだったけど…。”例の集まり”との調整は何とかしたいと思ってるよ」


「この前、マッキにはラッセルの予定は今後もうまく計ってくれとは言っといたが…。その場にいたりゅーじんのヤツ、意味ありげな言い回ししてやがったわ」


「親の病院で、こっちのことはもう耳にしてるのかもな。りゅーじん…」


「なあ…、いっそのこと、”仲間”には告げた方がいいんじゃないのか?なるべく早めに…」


「うん…、まあ、タイミング見てな…。近いうちにはな」


***


「…ところで、クズコの方はうまく収まった感じだな。でもなあ…、親の事情なのに何ともだろうが、中坊としては…」


ラッセルは目を細めてため息をついていた


そんな彼のやるせない表情を慮ったコンボイは、トーンを上げて相棒にこう返した


「うん!今日は学校に出るってことだから、仲間みんなで出迎えてやろうぜ、クズコをよう。ああ…、この時間ならみんなもう学校着いてるか。はは…」


この後、重戦車コンビは登校路へ着いた


どうやら”本日の”遅刻は免れそうだった…





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