フユノサクラー真冬の夜、恋の桜が舞ったー
=雑食系集う⑥=



『例えば、終戦後の高度経済成長期に、水俣病やイタイイタイ病などの公害病が深刻な社会問題をもたらしたました。これは、現代史で知識として習います。どこの県でなぜ起きたのかとか…』


クラスの皆は、いきなり難しい話が飛び出し、きょとんとしてる


『でも、それはあくまで基本知識に過ぎません。公害病から社会科の授業で本当に学ぶべきは、そこの先になります。なんだと思いますか?』


ーシーン…ー


『人体の健康を損なう公害のような弊害をもたらさずに、経済発展を遂げて行く為にはどうしたらいいのか…。歴史の教訓を鏡にして、人が幸せに暮らせる世の中を自分の頭で考えることだと、私は思います』


ここで何人かが、ふんふんと頷いていた



***



『これから皆さんは個性と能力を磨き、やがて皆それぞれの仕事に就くでしょう。まずは、そのことで社会貢献を果たしていきます。仕事で得た収入を行政に申告して、その割合に応じた税金を納めることはその最たるものです』


”ザワザワ…”


納税=社会貢献…


この関連付けが、中2には新鮮な理論立てに写ったのかもだ


彼ら的には、納税=国民の義務であったから‥


***


『しかし、そもそも自分たちが暮らす社会のルールがしっかりしていなければ不平等が生じたり、皆が安心して仕事に精を出して暮らせる世の中は保てませんよね?だから、その為に法律が必要になります』


「先生、そこでさっきの話になるんですね?」


”そうよ!そうなのよ~!彼女、絶好のフリね”


ナナボシ先生は心の中でそう呟いてた







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