フユノサクラー真冬の夜、恋の桜が舞ったー
=雑食系集う⑦=



『そうです。一般の人々は直接法律を作ることはできませんが、その権限を行使できる自分たちの代表者を選ぶことができます。ですから、国民は社会貢献の一方で、よりよい社会作りにも間接的に関与している訳で、従って、責任も負っているんですね』


「そうか…。わかりました、先生。その為には、授業では知識だけでなく、人が幸せに暮らせる社会作りを考える力も養わないと、選挙でロクでもない立候補者を政治家にしてしまいますもんね?」


『まあ、そんなところです。…これは私の個人的な考えですが、選挙が近づくと”棄権だけはするな”、”とにかく投票せよ!”…これねえ、どうかなと思うんですよ…』


クラスの数人が苦笑いを浮かべた


で…、ナナボシ先生はふと思った


”中には感づいてる子もいるみたいね…。まだ選挙権がなくても”


***


『何党支持だからとか、テレビで感じがいいからとか、ただ漠然と選挙に行くこと先にありきって風潮、ちょっと抵抗あるんです』


”そうよね”


”私もそう思うわ”


何人かが小声でこんなやり取りをしてる…


***


『単に義務感だけで投票しても、自分の望む、より良い社会を真剣に託しての一票とは言えないんじゃないかなと…。そう思っちゃいます』


「でも、先生…、それなら選挙いかない人を肯定することになりませんか?」


『無関心は論外です。そこでの棄権は絶対バッテンですよ、そりゃあ。要は選挙の投票って、人を選ぶというより有権者としての立場を公に示すことだと思うんです…』





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