フユノサクラー真冬の夜、恋の桜が舞ったー
=フユノサクラ②=



ロマンティックな夜の雪道…


マッキはあいあい傘の中に納まり、”彼との距離”を大幅に縮めて並んで歩いていた


というか、体の一部は微妙にくっついていた…


「じゃあ、りゅーじん…、次回は学校側の対応こうあるべしを、あくまで中学生の私たちから見たパブリティ像でみんなと議論ってことでいい?」


「ああ。ナナボシさんには今日の報告と一緒にさ、その方向へってことで意見を聞いてくれな」


「わかった。おそらく、最終の結論付けになる残り2回までの道筋も打診されると思うけど…」


「そしたら一回戻しくれよ。まずは次回次第でってとこだと思うしな」


「そうね…。文科省とか、その辺は意識する必要ないし。要は私たちのペースでね」


「そういうこと…」


ここで、二人の会話はしばし途切れた


その間は、互いの靴音、そして白く吐き出る二つの息づかいが静寂の夜道に放たれていた…


そして、先に言葉を発したのはりゅーじんの方だった


***


「今日のラッセル、ちょっとムキになってただろ?」


「うん、そうね…。あれ、先生たちに対する反発なのかクズコへの気遣いなのか…。どうなのかなあって…」


「両方かもな。でもアイツ…、相撲部屋に進む件、学校側から良く思われてないらしいんだ。結局、事後報告だったから不快感ってとこなのかな、学校サイドは。2週間の九州行きも、まだ正式に承諾がとれてないとか…」


「それ…、やっぱりあなたの病院ルートで…?」


「正確にはおフクロ経由だ。なので、多少は”衣つき”だろうが…」


マッキは、右側で傘を差してくれてるりゅーじんの横顔を見上げ、やや歩くスピードが遅くなっていた


それに気づいたりゅーじんは、ちょっと立ち止まって、彼女の方に顔を向けて言った


「マッキ、どうした?」


***


「あなたのお母さん、あなたを苦しめてる…」


それは、どこか唐突だったと、マッキ自身も感じていた…


だが、それは自然と口から出てしまったのだ


やや強い口調で…


「マッキ、お前…」


「私辛いんだよ。あなたが新しいお母さんのこと、こんなにも気付かってるのに、こうも後から後から…。ゴメン…、人の家庭のこと、私ズケズケと…」


「いや…、母親のことはオレの方から話してることだし…。お前がそう思うの当然だよ」


「りゅーじんには、もっと笑顔を見せてもらいたいのよ!」


マッキはりゅーじんの目を見つめ、訴えるようだった…






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