戻ってきたんだ…(短編)
君に呼ばれた気がしたんだ
急ぎ足で道を行き交う人々。
それをぼんやりと見つめながら、僕は立ち尽くしていた。
何年も見てきた光景。
もう見ることのないと……。
いや。
見ることができないと思っていた。
なのになぜ。
僕はここにいるのだろう。
なぜ。
来てしまったのだろう。
『翔(しょう)……』
僕を呼ぶ声が、ひどく懐かしくて。
あたたかくて。
つい……。
そう。
君に呼ばれた気がしたんだ。
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