花に償い
ああ、お客さん。
ぽん、と手を併せると泡が飛んで怒られた。すみませんね。
こんな時間にお客とは。学園は全寮制で、門限はとっくに過ぎている。
尤も、学園の友人が訪ねてくるとは思ってもいないけれど。
わたしを知っている人間は学園と親族しかいない。でも、親族もわたしを盥回しにするくらいだから、訪ねてくるわけがない。
手を動かしながら考える。
「薫子!」
「え、次はお皿ですか?」
「早く来な!」
「今!?」
手を濯ぎ、バタバタと店内を覗いた。
どこの誰だ、と見回す。
「裏口に回ってるよ!」
先に言ってよ!!