花に償い
ふかふかのベッドを思い出し、肇へと視線を向ける。
それはそうか。百合音の使用人になったのだから。
「わざわざそれを言いに?」
苦笑する。律儀なところも変わっていない。
いや、ずっと変わっていない。変わったのはわたしだけで。
きらきらとした瞳の中に、昔は身体に星を飼っているのだと思っていた。
「はい」
「そう。車には、気をつけなさ……気をつけた方が良いと思います」
小さく首を傾げた肇が頷く。
「はい、気をつけます。またここに来ても良いですか?」
「え、なんでよ」
もう洗い物の途中で呼ばれることは御免だ。