花に償い
ぱっと顔を輝かせて、こちらを見る。
「俺、ずっと薫子さまのこと探してたんです」
何故。
わたしたちの別れは、「また手紙を書くね」というような円満なものじゃなかった。
「言ってたじゃないですか、薫子さま。卒業したら会社を起こすって」
確かに言った。
わたしはの瞳の中のきらきらに巻き込まれそうになる。
だから何だ、とは言えなかった。
「そしたら俺を雇ってくれるって」
無謀な人間ほど、自分を振ってしまうのだ。
自らを、人生に投げ込んでしまう。
そして、わたしの中の感情が震える。