花に償い
肇はここへ来てから、起業のことは特に話さない。
単にわたしの世話を焼いている。お茶を淹れたり、甘いものを持ってきたり、背中を流すと言ってきたのには頭を叩いて断った。笑ってたけど。
本当に何をしたいのかよく分からない。
百合音にはここへ肇が来ていることを言っていない、と言った。
……本当に?
わたしと肇が行ったように、百合音と肇が共謀してわたしを更なる地獄へ突き落とそうとしている可能性は?
無くもない話だと思う。それくらいのことをした自覚もある。
物語の筋には無かったと考えたけれど、そもそも肇が生きている世界というのがもう本来の物語から逸れている。