花に償い
やったことは、やり返される。
「滲みますか? 大丈夫ですか?」
「……え?」
「薬用クリームなので」
「あ、いえ、大丈夫」
手を引っ込める。
でも今以上の地獄ってどこだろう。
どこに行ったって、もうわたしの楽園は無いのに。
「肇、百合音さんとはどうなの?」
「どう、とは」
まるで息子に対する質問だ。嫁とは上手くいっているのか、みたいな。
「彼女に限って無いでしょうけど、ちゃんと食べられているの?」
聞いていて笑えてしまった。それはわたしの方だ、と可笑しい。
それに、肇の家はこの下宿先よりは快適な場所だった。