花に償い
冗談でもやめてほしい。
雑巾で表の窓を拭く。
「肇は、違う方の使用人なの」
「そうなんだ。でも薫子のこと、忘れられないんだね」
そんなことを言われても、頷くわけにもいかず。
曖昧に首を捻っていると、後ろで車が停まる音がした。
わたしたちは掃除を終えて、バケツを持って戻ろうとする。
「薫子」
声をかけられ振り向く。学園の制服とお付きの執事が車からおりてくる。
何故、ここに。
「久しぶり」
自分から挨拶しておいて、少し気まずいような苦笑いを見せた。