花に償い
つまり、こうだ。
肇にそれを話されると優一の立場が危うくなる。同時に、百合音からの信用も失う。
それを防ぐ為に、薫子から肇に言ってくれないか。
薫子が優一を好いていることを、逆手にとって。
「俺は正直、百合音の使用人を辞めて構わない。でも百合音は肇の能力を買ってる。だから簡単には辞めさせないだろう」
「もうわたしの、」
「君の言うことならきくだろう、彼は」
君の犬なんだから。
ふつふつと煮えたぎる何か。
それをひっくり返し、この場で吐き捨てたくなる。
薫子はなんて男を好いていたのだろう。本当に人を見る目がない。