花に償い
言えないのだろう。
わたしだったら言ってしまう。その違いだ。
「……はい」
「顔を上げなさいよ。貴方を責める話じゃないわ、信頼関係をもう一度築き上げようという話よ」
「もう一度?」
「わたしたちはほら、まだ資金も無いし、すぐに起業どうこうできるわけじゃないでしょう」
その手を握り返してから、するりと解く。
近くの小さな棚の引き戸を開ける。
そこへ入れていた巾着と通帳を取り出す。
肇の視線もそれに注がれた。
「肇、これで学校に通いなさい」
きょとん、と顔が傾く。