花に償い
「学校に……?」
「わたしはその間、働いて資金を貯めるわ。貴方は百合音さんに仕えながら教養を身に着けて」
「……俺は」
「時間と資金が揃ったらわたしたち、また会いましょう」
母が残してくれた少しのお金。残してくれたのこれだけ? とわたしは思ったけれど、薫子は大事に持っていた。
それを肇の膝に落とした。
これがわたしの出来ることだ。
優一の方針を曲げず、肇を百合音から引き離さず、わたしから綺麗に引き離すやり方。
「わたしたちの信頼関係を築く為にはやってくれるわよね」
微笑む。肇は何とも言えない顔をして瞬きをした。