花に償い
わかっている。
肇はわたしの言うことを聞く。
こうして微笑めば。
「桃香、大丈夫?」
うーん、と寝返りを打ってこちらを見る桃香の顔色は悪い。
わたしは毛布をかけ直す。
「ごめんねえ、仕込み……」
「何言ってるの。気にしないで、ちゃんと寝てて」
「薫子、変わったねえ……」
その言葉に毛布から手を離す。
「……そうかしら」
「前は『早く起きなさいよ』って毛布取ってきてたよ」
「酷いわねえ、どこの誰かしら」
「飯田橋の薫子さんだよ」