花に償い
「その自覚あったんだ」
「まあね。どうして桃香は放り出さず一緒に居てくれたの?」
仕事の出来ない高飛車なお嬢様。
女将さんに無い噂を吹きこめば、ここからすぐに追い出すことは出来ただろう。
桃香は笑った。
「だって薫子、ここ以外に行くとこ無かったでしょう。それに、尻尾膨らませてる猫みたいだったんだもん」
「猫? 猫って尻尾が膨らむの?」
「怖がってる時とか怒ってる時とか」
怖がっている時。
「薫子は学園でしか生きていけないって思ってるかもしれないけれど、大丈夫、ここでも生きていけるんだよ」