花に償い
咳をする桃香の背中を擦りながら、わたしは静かに泣いた。
人はきっと、誰かに救われながら生きている。
わたしも、いつか誰かを。
店に行くと静かだった。一人で仕込みをするのにも慣れてきた。厨房の電気をつけて、ポテトナイフを出す。
肇にああ言ったのは、わたしから引き離す為だったけれど、本当に資金を貯めてみようかな。
百合音が何年か先に貧困に悩む子供たちも通える学校を建てる。奨学金制度などが導入されていた気がする。
わたしは桃香みたいに身体の弱い子に施せる治療を考えよう。
「その為にはまず医学を……」