花に償い
運命

ガタガタ、という物音に目を覚ます。

人の足が視界に入る。数人。男の声。

強盗だ。

そういえば薫子は強盗に襲われ死ぬんだった、と今更思い出す。

それが風の噂で百合音の耳に入ってきていた。

わたしは薄暗闇の店内に手足を縛られ、放置されていた。

扉を開けると何かで頭を殴られて、そこから気を失っていたらしい。床に肘をつくと濡れていた。暗いからよく見えないけど、多分わたしの血だ。

「全然ねえじゃねえかよ」
「金庫はどこだ」
「くそ、早く開けろ!」

レジスターを囲んで話している。

内一人が焦ったのか、覆面を外した。

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